NPO 茨城インドネシア協会 
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追憶、 めき志こ丸事故報告書(1)

めき志こ丸船長 安藤 純一

一、総屯数及機関        五千七百八十五、十五屯
二、事故の種別及程度      敵潜雷撃に依り沈没
三、航行区間           ホロ〜メナド.
四、発生年月日          昭和十九年八月二十九日
五、位 置              セレベス海 北緯二度十五分 東経百二十二度二十九分
六、航行区分(船団又は単独) 船団
七、護衛の有無          第二十八号掃海艇、第四十六号駆潜艇、第三十一号駆潜艇、第百五号硝戒艇
八、当時の本船任務又は命令(積荷屯数、輸送員数)  陸軍使用船別紙参照  海軍使用船
                       運営会使用船  其他.、
九、搭載人馬物件損害の有無    別紙参照
十、本報告書届出先          第三船舶輸送司令部、同マニラ支部
十一、事故の顛末
当時の本船任務
ザンボアンガ出張所、出港命令八月二十日、めき志こ丸、はあぶる丸は第二十八号掃海艇、第四十六号駆潜艇第三十一号駆潜艇第百五号硝戒艇の直接の護衛により、明二十一日九時出港し「ビートン』に到り同地支部長の指示を受くべし。
損害の概要
人員輝集団補充員、電信第二十六聯隊要員、第十九軍補給廠追求者、楓部隊、渡辺隊他大小二十部隊計四千二十名
乗組員百三十一名総計四千百五十一名。内生死不明者部隊八百二十五名(概数)乗組員(船員二十一名、船砲隊一名)二十二計八百四十七名、搭載物件貨物米一千六百屯、石炭一千屯、重油一千八百缶濃硫酸其他三千二百四十六屯三十三、隊貨車両(十九台)ガソリン(百三缶)黄火薬八屯、弾薬二百屯、兵器、被服、米等計一千屯、積荷総計四千二百四十六屯三十三全部焼失海没せり。

当時の状況
本船は『マニラ』に於いて『ビートン』揚陸予定の人員輝集団補充員、電信第二十六聯隊要員、第十九軍補給廠追求者、楓部隊渡辺隊他大小二十部隊混合、総計四千四十一名。貨物米二万九千二十二袋一千六百屯、石炭一千屯、重油一千八百缶五百四十九立方米、農硫酸其他八百九十三梱、九十七立方米三十三、計三千二百四十六屯三十三、隊属貨物車両(十九台)ガソリン(百三缶)黄火薬(八立方米)弾薬(二百立方米)兵器、被服、米等六千十四梱計一千屯積荷総計四千二百四十六屯三十三を搭載したる後港外に於いて一週間待機の上昭和十九年八月十五日五時五十分吃水舶⊥ハ米七十鋸七米六十を以って『マニラ』港を出港せり。(別紙搭載状況要図御参照)
『註』出港時より沈没時迄記載の時刻は凡て中央標準時より三分進めたるものなり。

一、遭難前の行動
マニラ〜セブ     船団名   H・三十三船団
護衛艦        第二十八号掃海艇   第四十六号駆潜艇 
船団    1、Aめき志こ丸(五千七百八十五屯)   2Aはあぶる丸(五千六百八十二屯)   3B国山礎丸(二千八百七十一屯)     4B八仁丸(一千九百十八屯)   5Aおりんぴあ丸(五千六百十八屯)     6B美崎丸(四千屯)    7A鎮西丸(一千九百九十九屯)      8A図洋丸(五百四十四屯)   9A岩城照丸(八百三十九屯)計九隻
速力    原速八、五節半速七  、0節微速六、 0節之字運動  広澗なる水域は昼夜共之字運動  Q法実施
船団は予定の通り八月十七日十四時四十分『セブ』に到着せり。航行間兵一名病死「セブ』に於いて兵十七名入院せり。

セブ〜ザンボアンガ     船団は1、めき志こ丸 2はあぶる丸 3国山丸 4八仁丸の四隻、第百五号哨戒艇護衛隊に加はり八月一八日十八時三十分『セブ』出港二十日十三時五十『ザンボアンガ』に到着せり。二十一日早朝乗組水手見張一名入団のため下船せり。
ザンボアンガ〜ホロ     船団は1、めき志こ丸 2はあぶる丸の二隻となり第三十一号駆潜艇更に護衛隊に加はりAU1二十八掃、U2四十六駆U3百五硝U4三十一駆の四隻の護衛の下に原速を九十節に改め八月二十一日八時五十分『ザンボアンガ』を出港し同日二十時十分『ポロ』に仮泊せり。

二十二日五時二十五分「ホロ』抜錨八月二十五日十一時到着の予定を以て「ビートン』に向ひたりしが二十三日○時五分北緯四度四十二分、東経百二十一度四十二分の地点に於いて、はあぶる丸は中圧『クランク』軸折損のため航行不能に陥れり。

本船は先任護衛艦の命によりはあぶる丸曳航作業を開始せり。
曳航索は5・5鋼索五百米を必要なりと思考せしも両船ともその準備なく火急の場合なりしを以って巳むを得ずはあぶる丸の鋼索5・5二百二十米を一先ず本船に取り入れ之を結着したる後

本船の八吋『マニラホーサー」を補強の為はあぶる丸に流しつける予定を建て夜間洋上何等の援助もなく作業に困難を極めたりしが漸くにして両船間の鋼索取付けに成功せり。

而して本船推進器保安のため二十三日、九時頃本船右舷機前進極微速を令し機械漸く回転を始むるや鋼索古品なりし為忽ち切断せり。
今は手段なく而も敵潜の攻撃を受ける算極めて大なりしを以てはあぶる丸に妨舷材あることを確かめたる上寧ろ無謀に似たりしもはあぶる丸を本船左舷に抱合せんと決意し護衛艦及はあぶる丸に通告し
本船は其準備を開始せり。偶々哨百五号艇長より『我がはあぶる丸の曳航を試む、貴船は抱合せ準備を完成し待機せよ」の信号ありしを以って其の指示に従いたり。哨戒艇はめき志こ丸に比し、自重遙かに小なるを以って 
「マニラーホーサー」一本にて曳航に成功し更に増結取。マニラホーサー二本を取りたる上同日正午厳重警戒の下に「ホロ」に向い、本船は二四日十時四十五分「ホロ』に到着せり。

二、遭難の顛末
翌二十七日六時二十五分吃水シュウ六米二十五センビ七米〇五を以て「ホロ」抜錨「トリトリ』に向ふ。

然る所出港後第二十八号掃海艇より「百五哨、三十一駆は他の任務に就く、船団は人員を『メナド』に陽陸することに変更となりたり』旨信号ありたり。

「ホロ』出港後間もなく七時より八時頃迄発信所VG3、受信所V(記録非常処分せしため失念)周波数七千七百七十KC始め英語四文字続いて数字五文字の長文敵性暗号電報を極近距離より送信中なるを本船にて傍受せしを以て七時三十分頃右発信中なる旨第二十八号掃悔艇に手旗を送りたり。

『ホロ』島南側水道通過後十時二十五分護衛艦は第二警戒航行隊形(航洋)を制り十一時十五分之字運動U法(別紙御参照)を始め原速九十節にて進行し夜間は稲晦針路をとる(別紙航路図御参照)

二十八日兵二名病死せり、二十七日十入時十分及二十八日二時置分の二圓二十八掃は敵潜を操知し緊急斎動を行ふ(二回共爆雷攻撃は行はず)斯くて対潜警戒を四層厳となし特に二十九日二時五分の月没時には小職は見張員に『今が一番悪い時だ厳重に見張れ』と注意を与へ(別紙見張配置要図御参照)
厳戒裡に航行中二時四十八分約二十秒前船橋天井左舷側を監視中の威二千九百五十四部隊江守隊入舟隊二宮初雄二等兵が雷跡と叫びたり。

小職は船橋中央にありて前半を警戒し居りたるを以って反射的に面舵一杯、全速前進を令し警笛を吹鳴せり。舵効漸く現れんとする頃左百三十度より来れる雷跡を船橋真横極く近距離に認めたりしが確かに避け得たりと思い

「緊ったな」と叫んだ次の瞬間、第二本目の魚雷は第一番艙左舷側に命中せり(小職は此の雷跡は位置の関係上認めざりしも人舟隊本船見張員共に雷跡二本を認め一本は船首約三十米にアタり二本目が命中せりと報告せり)

時に二時四十八分(中央標準時二時四十五分)船位北緯二度十五分、東経百二十二度二十九分なり(別紙雷撃の模様御参照)
魚雷命中と同時に第一番艙は大爆発を起し艙口より大火柱立ち船橋には海水怒濤となりて打込み消燈せり。

三、雷撃後取りたる処置
小職は予而第一、二番艙の搭載状況に艦み敵火を受けたる種々の場合の処置に関し考究し居りたる所にして現状到底防火の見込みなしと即決し直に機械停止、総員退去用意、総端艇卸し方用意を令す。
既にして爆発と同時に吹き飛ばされたる者及一番艙、前部船員室を脱出し得たる者は海中に入る、小職の注意により三番艙以下は兵員秩序を保ち得たり。当直士官に推進器の停止を確認せしめたる後二時五十一分総員退去、総端艇降下を令し総員退去の警笛を吹鳴せり。魚雷命中爆発後火は甲板上をなめ右舷側より先ず船首楼に次いで両舷より船尾に向かって炎上し所々に飛火し又海上に飛散せし油及魚雷命中破孔より流出せし重油に引火し一番艙左舷側海面より漸次火の海と化す。

小職は舵を中央に戻さんとせしも中央とならず三時には船体行脚.全く無く前部甲板及端艇甲板には生存者を認めず、船上海面共に火勢強く弾薬破裂し船橋に飛来すること頗りなり。
小職は状況に処して豫て重錘を附せる非常袋に納め船橋に備え置きたる小職保管中の陸海軍、海務院関係の機秘密書類二袋(使用中の船団運動規定及味方識別信号を海軍関係の袋に納む)を一等航海士に命じ船長室横に於いて又局長保管中の同様書類は同様非常袋に納め局長に命じ局員二名立合の下に左舷局長室前に於いて夫々沈下確実に海没処分せしめたり。
本件に関しては第四十六号駆潜艇々長及『メナド』支部長に夫々口頭を以て報告せり。
三時六分頃三等航海士船橋に来り小職の退船を薦む、海面の火は既に右舷船首に拡り二番艙の黄火薬、弾薬の爆発は一刻を争ふ時なりしを以て三等航海士に急拠退船する様注意を与へ立去らしむ。

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